第4 今後の展望、課題
1 地域振興に関連した島の特質
(1)個性が強い
本土から離れた小さな島が活性化するのは、島外との連携が不可欠である。それには、その地域の個性、つまりその地域らしさを確立し、それを強く主張することが大事だ。それによって、島外の注目を集め、観光や地域差品の販売でも優位性を保つことができる。
幸い屋久島は、独特の森林文化、食文化を持つ。これらは大事な地域資源である。世界遺産に指定後、さらに知名度が高まった。この点は、他地域にはない特性である。
(2)盛んな情報発信
鹿児島県などは、94年に東京都内で、屋久島の世界遺産登録を記念して「屋久島フォーラム’94 in Tokyo」を開いた。フォーラムには、皇太子ご夫妻をはじめ、ノーベル賞受賞者の福井謙一氏や哲学者の梅原猛氏らが出席してパネルディスカッションなどを開いた。これは世界遺産への登録を内外にアピールするよい機会だった。
屋久島環境文化財団は、機関誌の「屋久島通信」を発行する。県も、屋久島の情報発信には熱心だ。民間でも、島の魅力にひかれて移住した人が、島のありのままの姿を写真や文章で島外に発表している人が少なくない。
(3)“応援団”の存在
屋久島には、島外の応援団が多い。屋久島環境文化財団は、いくつかのカード会社と提携してクレジット・カードを発行している。カードを使うと、カード会社が受け取る手数料の一部が財団に寄付され、島の自然保護に役立てられる。鹿児島銀行は「かきん屋久島ボランティア定期預金」を発売している。税引き後利息の一定割合を自動的に財団に寄付する仕組みである。これらは財団の財政を支えることになろう。
屋久島には古くから「高いとこ」という慣習があり、地縁、血縁のない人がほかの集落の家族と「いとこ」としての契りを結び、冠婚葬祭に呼んだり、泊まりにいったりして交流を深めてきた。交通機関の発達とともに、この制度はすたれてきた。屋久町は、「ふるさと大使」としての意味が濃い「屋久島いとこ」の制度
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